いまさら聞けない…プライベートクラウドとは?オンプレミスとの比較で分かりやすく解説

2023年03月29日掲載

いまさら聞けない…プライベートクラウドとは?オンプレミスとの比較で分かりやすく解説

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前編の「いまさら聞けない…パブリッククラウド」に続き、本稿ではプライベートクラウドにフォーカスし、「プライベートクラウドとは、どういうクラウドサービスなのか」といった基本から解説。オンプレミスとの違いやメリットに触れつつ、事例についても紹介します。 
前編「いまさら聞けない…パブリッククラウドとは?」を読む

目次

プライベートクラウドとは?

コンピューティング環境を共有・共用型で提供するパブリッククラウドに対し、コンピューティング環境を1社専有・専用型で提供するクラウドサービスがプライベートクラウドです。クラウドサービスが登場する以前、企業は情報基盤を構築するために、サーバやネットワークなどの物理的な装置を自社で調達し設置・運用しており、こうしたシステムの保有形態を「オンプレミス」と呼んできました。プライベートクラウドは、“1社専有・専用のコンピューティング環境を利用する”点においては、オフィス内にサーバやネットワークを構築するオンプレミスと同じですが、LANではなくインターネットなどWANを介して離れた場所にあるサーバなどにアクセスする点で異なります。利用形態は、本社ビル内のサーバなどに地方の拠点からアクセスするケースや、データセンタ事業者のインフラを契約して、本社や拠点からアクセスするケースなど様々です。

プライベートクラウドのメリットとデメリット

下表はパブリッククラウドとプライベートクラウドを比較したものです。プライベートクラウドは、1社専用・専有型で、セキュリティ面など個別の要件に柔軟に対応できる分、コストや運用負荷が高くなる傾向があると言えます。■パブリッククラウドとプライベートクラウドの比較
パブリッククラウドプライベートクラウド
メリット・導入コストが低く済む・専門知識が不要・高度なセキュリティコントロールが可能・企業ごとのカスタマイズがしやすい
デメリット・セキュリティコントロールに限界がある・企業ごとのカスタマイズが制限される・導入コストが高くなる・専門知識を持った人的リソースが必要になる

プライベートクラウドのメリット

プライベートクラウドのメリットは、セキュリティの高さにあります。クラウド環境にアクセスするために専用の回線を利用するのが一般的で、外部からサイバー攻撃を受ける可能性が低くなります。また、企業用に特殊な設計や仕様に対応できるようサービスをカスタマイズできる柔軟性の高さも、プライベートクラウドのメリットと言えるでしょう。

プライベートクラウドのデメリット

高いセキュリティを確保するために、クラウド環境にアクセスするための専用回線を設置したり、企業に特化してカスタマイズを施したりするため、初期費用が高くついてしまうことがプライベートクラウドのデメリットです。特にオンプレミス型の場合、自社でシステムの構築・運用を行なうため、専門知識をもった人材の確保であったり、物理的リソースを拡充しないといけなかったりするなど、初期費用やランニングコストがさらに高くついてしまいます。

オンプレミス型とホステッド型、2種類のプライベートクラウド

プライベートクラウドは、サーバやネットワークなど物理的なリソースを自社で所有するかどうかによって、オンプレミス型とホステッド型とに分類できます。

①オンプレミス型プライベートクラウド

オンプレミス型プライベートクラウドは、サーバやネットワークなどのインフラを自社で用意し、クラウド環境を構築・運用する形態のプライベートクラウドのことです。クラウドの管理主体はユーザである企業となります。仮想サーバ上にシステムを構築し、ITリソースの拡張が簡単にできるメリットがあります。

②ホステッド型プライベートクラウド

一方、ホステッド型プライベートクラウドは、クラウド事業者が保有するクラウド環境を利用して構築した、自社専用のクラウド環境のことです。オンプレミス型との最大の違いは、管理主体がクラウド事業者となる点です。これにより、ユーザはインフラ保守から解放され、限られたリソースをDXなどに集中することができます。

専用ベアメタルサーバという選択肢を提供するIBM Cloud

プライベートクラウドの選択肢の1つに位置づけられるのが専用ベアメタルサーバです。専用の物理サーバ環境をクラウド型で提供し、高いパフォーマンスやセキュリティを求めるシナリオに最適です。そのベアメタルサーバを強みとしているのがIBM Cloudです。CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークなどのリソースを豊富なメニューで提供。共用型の仮想サーバでは対応できないケースにも柔軟に対応でき、オンプレミス型からの脱却を支援します。

ベアメタルサーバによるプライベートクラウド2事例

最後に、IBM Cloudの専用ベアメタルサーバを活用したプライベートクラウドの事例を2つ紹介します。

事例①株式会社サイサン

ガスエネルギーの供給や電気の小売など、国内外でエネルギー事業を展開する株式会社サイサン(以下、サイサン)では、事業のスケールアップを目指すため、各事業所の顧客データを集約・管理するCRMの整備に着手しました。しかし、事業所ごとに顧客のデータベースを構築・運用していたために、事業者間での情報共有を円滑に行えないなど、急激なビジネス環境の変化への対応力が課題となっていました。こうしたなか、サイサンがCRMの設置場所として選んだのがIBM Cloudです。IBM Cloudはセキュアな環境を構築できるベアメタルサーバを提供していることに着目し、ベアメタルサーバ上に顧客のデータベースを構築。アプリケーションサーバやVPNサーバなどをクラウド上の仮想サーバに構築することで、セキュアな環境を維持しながら低コストでCRMの稼働が可能となりました。

事例②株式会社山田製作所

国内以外にも中国、タイ、米国など海外に生産・販売拠点を構え、オイルポンプやステアリングコラムなど四輪車・二輪車の機能部品の開発・生産、販売を手掛ける株式会社山田製作所(以下、山田製作所)。生産性をいっそう向上させるため、部品の機種や数量、生産スケジュールなどを管理する文書共有システムの確立やPLMシステムの導入が急務となっていましたが、各担当者が個別に開発テーマを管理していたため、部品の開発状況を迅速に把握しにくいという課題がありました。海外拠点にシステムを集約させたとしても、接続が不安定なインターネット回線では、応答時間の遅延から業務処理に支障をきたすリスクがありました。こうしたなか、データセンタ間のプライベートネットワークを無料で利用できるIBM Cloudに着目。安定したネットワーク接続を低コストで利用できるだけでなく、文書共有を利用できるデータベースをベアメタルサーバ上に構築することで、セキュアなシステムを実現しました。