データドリブンとは?実現方法やツールもわかりやすく解説

2023年03月29日掲載

読了まで10分

変化が早く予測が難しい現代のビジネス環境において、意思決定の手段としてデータドリブンが注目されています。データドリブンを実践することで、個人の経験や勘に頼った判断ではなく、効果的な意思決定が可能になるのです。本稿では、データドリブンの意味を説明し、実践の方法や役立つツールについても解説します。

目次

データドリブンとは?

英語で "Data Driven" という言葉は、直訳すると「データによって駆動される」という意味です。つまり、経験や直感ではなく、客観的なデータを主要な根拠として意思決定を行うアプローチのことです。データドリブンの考え方は、経営、マーケティング、営業などの様々な領域で実践されていますが、その内容や方法は時代とともに変化してきました。
社内の様々なデータをエクセルでグラフ化しそれを基に意思決定する従来のやり方もデータドリブンですが、こうしたアナログのアプローチは時間と手間を要し、分析結果を全面的に信頼するには不安が残ります。その意味で今求められているのは、誰もが簡単に、手間なく、十分に信頼できる分析結果を導き出すデータドリブンです。

データドリブンの必要性

データドリブンが必要な理由として、次の3点が挙げられます。

VUCAの時代

VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(あいまい性)の頭文字を取ったもので、現代のビジネス環境を表す言葉です。つまり現代のビジネス環境は変化が激しく、不確実で、複雑で、あいまいであるということを表しています。データドリブンな経営判断が必要とされているのは、客観的なデータを根拠とすることで、次のようにVUCAなビジネス環境にも対応しやすくなるためです。
● 変動性への対応…データドリブンな経営判断により、現在と過去のデータを活用してビジネス環境の変化の兆候を捉えられます。これにより、変化に対して迅速に対応し、適切な戦略や施策を実行できます。
● 不確実性への対応…データ分析やそれに基づく予測により、将来のリスクをある程度把握できます。これにより、リスク(不確実性)を適切に管理し、不利益な状況が発生する前に対応策を検討しておくことが可能になります。
● 複雑性ヘの対応…複雑な状況をデータ分析や可視化により理解しやすくできます。これにより、適切な状況把握と戦略や施策の策定ができます。
● あいまい性の解消…データ分析により、あいまいな状況を明確化し、具体的なアクションにつなげられます。データの共有により組織内の認識を統一し、あいまい性を解消できます。

ベテランの大量リタイアと技術継承の問題

データドリブンが必要とされる理由の1つに、ベテランの大量リタイアと技術継承の問題があります。高齢者の退職に伴い、ベテランの経験や知識を若手に継承することが困難になってきているのです。団塊の世代が一斉に退職した2007年以降、ベテランの大量リタイアは続いており、ノウハウを継承できる組織づくりの必要性が高まっています。これらの問題はデータドリブンにより解決できる可能性があるのです。例えばベテランのナレッジをドキュメントとしてデータ化しておくことで、新人がアクセスしやすくし、技術継承を円滑に進める手法があります。ベテランが退職した後も、そのナレッジを活用し、業務遂行に役立てられます。これはAIや機械学習を組み合わせるとさらに効果的です。ベテランのナレッジをデータ化し、それをAIや機械学習によって分析・学習させることで、新人がその知識を効率的に活用して業務を遂行することが可能になります。データドリブンにより、組織の技術継承問題に対処し、持続的な成長を達成するできるのです。

顧客行動の多様化・複雑化

現代のビジネス環境では、顧客の価値観が多様化・複雑化しています。これは、情報化社会の発展により、顧客が幅広い情報や選択肢にアクセスできるようになった結果です。世界がインターネットにより繋がり、異文化交流が盛んになることで、個人が独自の価値観やニーズを持つようになりました。このような状況下では、企業は顧客個人ごとの価値観を理解し、そのニーズに応じた商品やサービスを提供することが求められます。そのような顧客行動の多様化・複雑化に対応できるのがデータドリブンの考え方です。例えば顧客データの分析により、顧客個人のニーズや嗜好を深く理解し、適切な製品やサービスを提供できるようになります。さらに、データ分析の結果を用いてパーソナライズされたコミュニケーションを実現すれば、顧客エンゲージメントを高め、顧客満足度やリピート率を向上させることもできるでしょう。また、顧客データを基に行動傾向やニーズの予測を行い、将来の市場や顧客ニーズの変化に対応した戦略や施策を立案することもできます。

データドリブンの実現ステップ

実際のデータドリブンは、データの収集~データの可視化~データの分析~データの活用といったステップを踏みながら進めることになりますす。

①データの収集

データドリブンの基本となるデータを収集するのが最初のステップです。データ収集には、様々な方法やデータソースがあります。自社の内部情報や市場データなどの外部情報、WebサイトやSNSからの情報などが挙げられます。社外データについては、品質や信頼性が高く、目的に合ったものであることを確認する必要があります。
別々のデータベースやプラットフォームに保存されている、売上、顧客、購買、経費、在庫などの社内データは、データレイクやデータウェアハウスデータなどにデータを集約し一元管理することで、スムーズなデータ抽出が可能になります。また、収集したデータはそのままでは分析に適さない場合が多いため、データの再フォーマット、修正、結合などを行って、分析に使えるクリーンなデータに変換するデータプレパレーションも重要になってきます。

②データの可視化

データの可視化とは、数値や文字の状態ではわかりにくいデータの関連性や変化を、グラフ、図形、チャートなどに変換し、わかりやすい形で表現することです。データの可視化を行うことで、データを判断材料とした意思決定を素早く行える、個人の経験や勘に頼らない経営判断が可能になる、というメリットが得られます。また、BIツールを使うことで、Excelなどで手作業にてグラフを作成するよりも、簡単かつ迅速にデータの可視化を行うことができます。

③データの分析

データの可視化が終わったら、次は可視化されたデータを分析します。データ分析の目的は、自社の経営課題を解決するための判断材料となる指標をデータから抽出することです。そのためには、目的を的確に設定したり、専門的な手法を使ってデータから情報を抽出したりする人材が必要となります。このような高度な人材はデータサイエンティストと呼ばれ、データ分析の専門家として必要性が高まっています。
中小企業など、データサイエンティストの確保が難しいケースでは、人工知能(AI)技術を使ってデータ分析や予測などを自動化・省力化するAIサービスの利用が有効です。AIサービスを使うことで、中小企業でも大企業に負けないレベルのデータ分析が可能になります。

④データの活用

データの活用は、データドリブンを実現する最後のステップであり、分析されたデータから得られた情報を実際のビジネス上の意思決定や戦略策定に適用するプロセスです。データの活用により、組織はより効果的かつ効率的な手法で目標達成に向けて取り組めます。データの活用を成功させるためには、組織全体でデータに対する意識を高め、データ活用に関するスキルやリソースを充実させることが重要です。また、データ分析の結果を適切に解釈し、実際のビジネスに適用できるようなフレームワークやプロセスの整備が求められます。

データドリブンのために役立つツール

ここでは、実際にデータドリブンを行う際に用いられるツールについて、代表的なものを紹介します。

CRM(Customer Relationship Management)

CRMは顧客関係管理を意味し、顧客の情報を蓄積し、顧客のニーズや行動を把握するためのツールです。CRMを活用することで、顧客満足度の向上やリピート率の改善、クロスセルやアップセルの機会の創出などが期待できます。

SFA(Sales Force Automation)

SFAは営業支援を目的としたツールです。SFAを活用することで、営業パイプラインの可視化や予測精度の向上、営業戦略の最適化などが期待できます。

MA(Marketing Automation)

MAは、顧客属性情報や行動履歴に基づいてマーケティング施策を自動化するツールです。MAを活用することで、マーケティングROIの改善やコスト削減、パーソナライズドなコミュニケーションの実現などが期待できます。

Web解析(Web Analytics)

Web解析は、Webサイトの閲覧データを分析し、改善点を発見するツールです。Web解析を活用することで、Webサイトのパフォーマンスの最適化やユーザビリティの向上、効果測定や仮説検証などが期待できます。

BI(Business Intelligence)

BIは、企業が持つデータを収集、可視化、分析し、経営上の意思決定に活用するためのツールです。BIを活用することで、経営判断の迅速化や精度向上、競争優位性の獲得やイノベーション創出などが期待できます。

DMP(Data Management Platform)

DMPは、様々なデータソースからデータを収集し、一元管理できるツールです。DMPを活用することで、ターゲティングやリターゲティングの効果向上や広告予算の最適化、新規顧客の発見などが期待できます。

ERP(Enterprise Resource Planning)

ERPは、企業内に存在する会計、人事、精算、物流、販売といった基幹業務データを統合することで情報を一元管理し、最適な経営資源の配分を図るためのツールです。ERPを活用することで、業務効率化やコスト削減、リスク管理やコンプライアンス強化などが期待できます。

AI/ML(Artificial Intelligence/Machine Learning)

AI/MLを活用することで、人による判断のバラツキを回避しつつデータ分析や予測の負担を軽減し、短時間で信頼できる分析・予測を実現します。

AIを活用したデータドリブンの事例

データドリブンでは様々なツールが活用されますが、最も注目されるのがAI/ML(人工知能/機械学習)です。最後に、AI/MLを活用した株式会社オプテージの事例を紹介します。

株式会社オプテージにおけるデータドリブン事例

個人向け「eo光」サービスの契約継続率を改善するため、サポートチャンネルの充実が急務に。この課題を解決するため、同社はIBM Watsonを活用したチャットボットを導入しました。IBM Watsonを選択した理由は、「AIの専門知識を持たない担当者でもメンテナンスにより正答率を上げられる」「活用実績が豊富にある」「ユーザ・インターフェースが充実している」の3点でした。
チャットボットを導入し、24時間365日のお客様対応が可能になったことで、オペレーターへの入電が抑制されたほか、解決率向上を実現しました。

まとめ

人によるバラツキを回避して分析・予測を効率化・自動化し、ベテランの勘やコツなど承継が難しいノウハウもカバーするAI/ML。IBM Cloudでは、AIとして実績のある「IBM Watson」を標準提供しており、追加コストなしで利用することができます。データドリブンを進めたいが、データサイエンティストが社内にいない、可視化したデータを分析して予測するスキルに自信がない、といった企業にお勧めします。