新卒採用選考から半導体製造まで、ここまで進むAI活用

2023年03月18日掲載

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近年、AI技術の発展が目覚ましく、次々と新しいAIサービスが登場しています。実際のビジネスでAIを活用する事例も増え、私たちが日々何気なく暮らす中で、AIの恩恵にあずかるシーンが徐々に増えています。本記事では、そうした身近でユニークなAI活用事例を6つ取り上げ紹介します。

目次

AIのビジネス活用事例6選

①大規模店舗での体温測定

イオン株式会社では店舗での体温測定にAIによる温度検知ソリューションを活用しています。新型コロナウイルスがまん延して以降、店舗に入る際に体温を測定する機会が増えました。入口にスタッフを配置し、非接触型の温度計でお客様の体温を計測するケースも多いようですが、大規模な店舗では入口で滞留が生じお客様のストレスになりかねません。イオンでは500人規模のお客様が短時間に入店する場合もあるため、1人ひとり体温を測定するのは非現実的でした。
そこでイオンでは、AIによる人流解析を導入し、AIが自動的に来店客の顔を認識して体温を計測するシステムを導入しました。入店する際のスムーズな検温は、大量の人員に対する個人識別や情報処理を得意とするAIによって実現していたのです。体温計測と同時に個人の識別もできるため、同社では社員の勤怠管理での活用も検討しています。

https://www.softbank.jp/biz/customer-success-stories/202009/aeon/

②新卒採用の選考

新卒採用選考でのAI活用という非常にユニークな試みをおこなっているのがソフトバンク株式会社です。同社では、採用選考にかかる費用や手間の削減を目的に、応募者が事前に設定された質問に対する回答を動画形式で収録し、それを企業側が見て選考する「動画面接」を実施しています。その動画面接をさらに効率化するために導入したのがAIです。事前に、インターンシップの選考で提出された動画データと採用担当者による評価データを学習することよって、採用担当者の評価基準と同じレベルでAIが動画を評価・判定。これによって、選考にかかる時間を70%程度削減する見込みです。

https://ledge.ai/softbank-ai-recruit/

③学習支援

金沢工業大学では学生の自主学習支援にAIを活用しています。現在、大学教育では、学生の価値観や意識、学びに対する姿勢、生活スタイルなどの多様化にともない、従来のような画一的なカリキュラムからの脱却が求められています。一方で、個別学習をサポートするには、学生1人ひとりの状況を把握し個人に適したフィードバックをおこなう必要があり、人的リソースの面で限界がありました。そこで金沢大学では、IBMの自然文解析AI「IBM Watson」を用いた「自己成長支援システム」を導入しました。
自己成長支援システムでは、上級生や卒業生100万人分のデータをWatsonが学習し、個人ごとに最適な学習方法を提案。従来、相談員の勘で実施していた相談対応がデータに基づいて実施されるようになり、質の担保と工数の大幅削減を実現しました。今後は、卒業後のデータをWatsonに学習させることで、より実社会に最適化された提案ができるようにしていく考えです。

https://www.ibm.com/jp-ja/case-studies/t584244c58236q49

④顧客問い合わせ対応

カスタマーセンタにAIを活用しているのが大手信販会社の株式会社ジャックスです。カスタマーセンタでの顧客対応は顧客のロイヤルティに大きな影響を与えます。たとえば、問い合わせをしたら長時間待たされてイライラした…といった経験がある人は少なくないと思います。ジャックスでも、紙ベースのマニュアルで対応していたため、顧客を長時間待たせることがありました。
そこで、まず膨大な量のマニュアルを電子化してクラウド上にアップし、「IBM Watson」による言語解析で、回答候補となる情報を自動表示する「カスタマーセンタ回答支援システム」を導入しました。このシステムを利用することで、問い合わせ対応のスピードと正確性が大幅に改善。運用開始後の1ヶ月で利用率は77%、正答率は98%に達しました。オペレーターの研修期間も7ヶ月間から5ヶ月間に短縮され、人材育成の効率化にも貢献しました。

https://www.ibm.com/jp-ja/case-studies/jaccs

⑤半導体の製造プロセス最適化

半導体の製造にAIを活用しているのはパナソニック株式会社です。半導体製造プロセスにおけるパラメータは100種類以上に及び、正しく設定し誤差なく製造するための「職人技」が求められる世界です。高度な技能を持つ職人達がPDCAを回しながら段階的に調整していましたが、パッケージング構造が複雑化し、従来のやり方では開発サイクルが長くなってしまう課題が生じました。
そこで、AIを活用してレシピ生成を自動化し、洗浄/メンテナンスの最適なタイミングまで特定するソリューションを導入。属人化から脱却しつつ、開発サイクルの期間を30%、装置メンテナンスコストを50%削減することに成功しました。将来的にはこれらをサービスとして市場に投入する予定です。

https://www.ibm.com/jp-ja/case-studies/panasonic-connect

⑥営業のスキル・ノウハウ支援

不動産事業を手がける株式会社ヒノキヤグループでは営業支援にAIを活用しています。かつてヒノキヤグループでは、営業活動に必要な情報が体系的に整備されず、営業スタッフが個々に作成・管理していました。そこで同社は、「IBM Watson」を活用したAIチャットボットを導入。自社商品の知識や不動産・法律関係の膨大なデータをAIに学習させ、営業上の様々な疑問についてAIが即座に回答する仕組みを用意しました。結果的にお客様を待たせることが少なくなり、営業スタッフの業務知識の向上にも役立っています。

https://www.softbank.jp/biz/customer-success-stories/201801/hinokiya02/

まとめ:IBM Watson活用ノウハウを社外に提供するソフトバンク

実は、上記6つのAI活用事例はいずれも、商用AIとして歴史と実績がある「IBM Watson」を利用しています。「IBM Cloud」ユーザに対し、追加コストなしで提供される「IBM Watson」ですが、国内で「IBM Cloud」および「IBM Watson」の活用提案を進めるベンダの1つがソフトバンクです。今回取り上げた新卒採用選考のほか、音声データの文字起こし、ニュースの分類など、自社で積極的にAIを活用し、業務の効率化・自動化など大きな成果を上げてきました。そこで得られたノウハウを基に、導入支援サービス「IBM Cloud AIスターターパック」や、ベストプラクティスをまとめた「AI導入支援サービス」などを社外に提供。お客様がAI活用による成果を最短距離で上げられるよう、支援に力を入れています。