クラウドサービスの種類と 主要パブリッククラウドの特長

2023年03月20日掲載

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そもそもクラウドサービスとは?

“クラウドファースト”と言われて久しく、令和3年通信利用動向調査(総務省)によれば、今やクラウドサービスを利用している民間企業は7割強に達する。クラウドサービスのクラウドは“雲”のことであり、遠く離れた場所で稼働するアプリケーションやコンビューティング環境をサービスとして提供し、ユーザはそれをネットワーク越しに利用するものだ。かつて、自社で調達・構築・運用してきたオンプレミスのシステムを、クラウド事業者が用意するインフラに置き換えることで“持たざるIT”を実現。システム更新のたびにかかる大規模な投資やハードウェアを含むインフラ保守が不要になるなど、様々なメリットが得られ、昨今トレンドとなっているDXやテレワークとも親和性が高いことから、導入が加速している。クラウドサービスには、提供する“サービスのレイヤー(責任範囲)”と“配置・提供形態”において、それぞれいくつか種類がある。

クラウドの種類①(IaaS/PaaS/SaaS)

“提供サービスのレイヤー”では、IaaS/PaaS/SaaSの3つに区分される。IaaS(Infrastructure as a Service)はハードウェアを含むインフラと仮想化ソフトウェアまで、PaaS(Platform as a Service)は、左記に加えOSとミドルウェアまで、SaaS(Software as a Service)は、さらにアプリケーションまでがクラウド事業者の責任範囲としてサービス提供される。逆に言うと、それぞれ上記より上のレイヤーについては、ユーザ企業が用意する必要がある。ユーザ企業がコントロールできる範囲が広い分、運用・保守の負担が大きいIaaSに対し、SaaSは運用・保守の負担が少ない代わりに、コントロールできる範囲が少ない(PaaSは両者の中間)。用途が明示され導入も運用も簡単なSaaSがクラウド市場を牽引し、SaaSでクラウドのメリットを認識した企業がIaaSやPaaS導入に進むことで、さらにクラウド利用が拡大している状況だ。

クラウドの種類②(プライベートクラウド/パブリッククラウド)

もうひとつ“配置・提供形態”については、大きくプライベートクラウドとパブリッククラウドの2つに分けられる。プライベートクラウドは、企業が自社専用に場所を確保したうえで、そこに調達したサーバなど機器を設置し、構築したシステムを自ら運用するもので、自社の拠点にサーバルームを設けるケース(オンプレミス型)もあれば、外部のデータセンターを契約するケース(ホスティング型)もある。オンプレミス型は、サーバ環境を仮想化しクラウド環境として自社のエンドユーザに提供する点で従来のオンプレミス環境と異なる。機器選定やシステム構築、セキュリティ対策などにおいて自由度が高い一方で、日常的な運用・保守まですべて単独でおこなう必要がある。一方パブリッククラウドは、クラウド事業者が用意する巨大なインフラ(コンピューティング環境)を、仮想化技術により複数の企業で共用するもので、世界各地にあるクラウド事業者のデータセンターで提供される。サーバのほか、ストレージやデータベース、ネットワークなど、幅広いスペックの多様なサービスが用意され、企業は、必要なサービスをチョイスし構築したシステムに、閉域網などを経由してアクセスし利用する形だ。月額料金(しかも利用した分だけの従量課金)で利用でき、大きな投資が不要でスピード導入できる点は、プライベートクラウドにはないメリットだ。パブリッククラウドは共有型と説明したが、物理サーバを専有型で提供するベアメタルサービスも登場しており、HPCや独自のセキュリティが求められる用途など、共用型サービスでは難しいシナリオなどで導入されている。導入・更新のコストや即時拡張性といったプライベートクラウドの難点を解決する、“パブリッククラウドの新たな選択肢”として注目される。

5つの主要なパブリッククラウド(IaaS)とその特長

下記では5つの主要なパブリッククラウド(IaaS)を取り上げ、それぞれのコンピューティングサービス※の特長を紹介する。 ※パブリッククラウドベンダが提供する環境上で仮想的なサーバを稼働させるサービス

その①:AWS(Amazon Web Services):高い汎用性ではじめてクラウドを利用する企業にお勧め

Amazonが2004年からサービス提供するパブリッククラウドサービス。世界26のリージョン、84のAZ(アベイラビリティーゾーン)で運用されており、日本には東京と大阪にノージョンが開設されている。パブリッククラウドのデファクトスタンダードとなっており、サービス系アプリやビッグデータ分析、ストレージなど、幅広い利用に適した性能を誇る。

その②:Microsoft Azure:Microsoft製品と連携し高度なネットワークを構築

Microsoftが世界140ヵ国にまたがる60リージョンでサービスを提供するパブリッククラウドサービス。Microsoft 365などのMicrosoft製品との親和性が高く、Active Directoryとの連携も容易で、Active Directoryを導入している企業や、Microsoft製品との連携が要件に入るケースなどで有力な候補となる。Active Directoryを使ったイントラネットをクラウドに移行したい場合などにも有効だ。

その③:Google Cloud Platform:日々の活動で蓄積するデータの活用に強み

Google が200以上の国と地域、29リージョン/88ゾーンで提供するパブリッククラウドサービス。東京リージョンは2016年に、大阪リージョンは2019年に運用を開始。現在、東京・大阪それぞれに3ゾーンが開設されている。Googleの各種サービスを支えるプラットフォームと同等の、高性能で高速、セキュアで安定した強固なインフラを提供。GmailやGoogleカレンダー/スプレッドシートなどGoogle 製品を活用している企業にお勧めだ。

その④:Alibaba Cloud:中国・アジア圏での安定したサーバ運用に

アリババ・グループ(阿里巴巴集団)が200の国と地域・84のAZ/27リージョンで提供するパブリッククラウドサービス。日本では東京リージョンに2ヵ所のAZを開設、中国・アジアを中心に230万以上のユーザを抱える。Amazonに比類する強力なクラウドインフラストラクチャと、高水準の国際基準に準拠したデータセキュリティを完備。中国・ASEAN諸国でのグローバルビジネス展開の計画がある企業にお勧めだ。

その⑤:IBM Cloud:業務システムのクラウドリフトに強いビジネス向けのクラウドサービス

IBMが提供する安全&敏速を強みとするパブリッククラウドサービス。セキュリティの専門家を8,000人以上抱え、厳しい要件を満たすデータ暗号化を実現。フォーチュン50社中47社が利用している。KubernetesやIBM Watson APIを含む40以上の無料サービスのほか、データ・AI・コンテナ・IoT・ブロックチェーンなど170以上のサービスをフルスタックで提供する。AIを用いた高度でセキュアなデータ活用を必要とする企業にお勧めだ。

ベアメタル+AIで他と一線を画するIBM Cloud

前段で紹介した5つの主要なパブリッククラウド(IaaS)だが、AWS/Microsoft Azure/Google Cloud/Alibaba Cloudの4つは様々なランキング評価で上位に選ばれている。なかでも AWSとMicrosoft Azureは、市場シェアや伸び率において頭1つ抜け出ており、ここ数年さらに寡占化が進んでいるとする調査データもある。一方、IBM Cloudについては、冒頭のパブリッククラウドに関する解説でも触れた、ベアメタルサービスが充実している点で、IBM Cloudならではの価値を提供する。今では主要IaaSも軒並みベアメタルサービスを提供するようになったが、サービスメニュー(構成オプション)のきめ細かさ(充実ぶり)において“一日の長”がある。このため、セキュリティや再構築コストなどの面でクラウド移行をあきらめていた、個社ニーズに即して作り込まれた基幹系や業務系のシステムについても、オンプレミスとほぼ同等の物理環境をクラウド上に構築でき、手間やコストなどの面でクラウド移行のハードルをぐっと下げてくれる。専用サーバと共有サーバは物理的に切り離されているため、高度なセキュリティが要求される業種や用途にも対応できる。このほか、商用AIの先駆けとされる「IBM Watson」のAIツールが追加コスト不要で利用できる点も魅力で、AIの力でDX推進を目指す企業にお勧めだ。パブリッククラウド(IaaS)選定においては、市場シェアや知名度だけに惑わされず、前段で解説した各IaaSの特長を踏まえたうえで、自社の用途や要件に最適なサービスを選定したい。

マルチクラウド/ハイブリッドクラウド対応など、ベンダ選びも重要

冒頭では、クラウドサービスには様々な種類(区分)があることを紹介したが、どれか1つだけ利用するということではなく、複数の種類のクラウドサービスを適材適所で組み合わせるマルチクラウド/ハイブリッドクラウドが現実的だ。データ活用でDXを推進するには、SaaS/IaaS/オンプレミス間、異なるIaaS間など様々な連携が必要になり、テレワーク導入に向けては、場所を問わずセキュアにクラウドやオンプレミスに接続できるネットワークや認証の仕組みも必要だ。ソフトバンクは前述の5つのIaaSすべてを取り扱っているうえに、オンプレミスとクラウドをつなぐネットワークやセキュリティ対策のほか、マルチクラウド/ハイブリッドクラウド環境におけるシステム連携までワンストップで対応している。問い合わせ窓口や請求の一本化という点でもメリットが大きく、マルチクラウド/ハイブリッドクラウド環境の最適化を目指す企業にとって、心強いパートナーとなるだろう。ホワイトペーパー資料「パブリッククラウド(IaaS)徹底比較」はこちらからIBM CloudのWebサイトはこちらから